離婚における金銭問題(財産分与や婚姻費用)
よくある金銭面のご相談
- いまの住宅に住み続けたいが、ローンの名義変更を認めてくれない
- 将来が読めないご時世なのに、退職金まで分割しないといけないのか
- 向こうが勝手に出て行ったのだから、生活費の負担など論外だと思う
弁護士に依頼するメリット
金銭の額を決める際には過去判例や算定表などを参考にしますが、主張しないと考慮してくれない点があることに注意しましょう。支払総額が所得を上回るような場合、減額が認められる可能性があります。逆に、しかるべき金額でも生計が成り立たないのであれば、生活保護などの申請を検討すべきです。
財産分与のケーススタディ
ご相談内容
子どもの学資保険が100万円ほどあり、離婚後は、子どもを引き取る妻側が引き継ぐ予定になっている。夫側はこれに対し「財産分割の対象になる」として50万円を請求しているものの、妻側は「嫌いになった相手の利益になることは一切反対」と聞き入れてくれない。
当事務所の対応
ご主人の主張が正しいといえるでしょう。調停や裁判に持ち込めば、希望通りの結果が得られると思います。しかし、手続き費用のことを考えると、訴訟を起こしていくかどうかには疑問が残ります。
結果
学資保険を解約し、得た金銭を等分することになりました。
ワンポイントアドバイス
感情に火が付いてしまった段階で正論を言い続けても、労力の無駄となってしまうでしょう。早い段階でご相談いただけたら、お子さんの将来を考えた譲歩を引き出せたかもしれませんが、ここは「実際に何ができるのか」を重視しましょう。
年金分割のケーススタディ
ご相談内容
専業主婦を続けてきたため、資産の増加に何も貢献していない。本当に年金が分割されるのか。
当事務所の対応
分割されます。家事や子育てのフォローがあったからこそ、ご主人が仕事に専念できたと考えられるからです。
結果
年金の分割割合を等分とすることで合意がなされました。
ワンポイントアドバイス
年金分割というと、「将来支給される年金の半額がもらえる」と勘違いされている方がいらっしゃいますが、これは間違った解釈です。掛け金の総額から、独身時代に積み立てた部分を除外し、結婚中の期間に応じた年金支給額を等分します。また、個人年金は分割対象に含まれません。
婚姻費用のケーススタディ
ご相談内容
妻が家を出て別居を始め、その生活費を請求してきた。勝手過ぎるのではないか。
当事務所の対応
結婚生活に必要な生活費などのことを「婚姻費用」といいますが、夫婦は相互に扶養義務を負うため、これを負担し合わなければなりません。要件さえ満たせば、基本的には支払わざるを得ないでしょう。係争に持ち込むと、その間に発生した「婚姻費用」まで上乗せされる可能性があります。
結果
双方合意の元、早期の離婚成立に向けて動き出すことになりました。
ワンポイントアドバイス
いつまでも抵抗を続けていると、給与を差押えられるかもしれません。婚姻費用は生存権という強い権利に結びついているため、給与の2分の1までの差押えが認められています。したがって、どうやったら良い条件で離婚できるかを、事前にプランニングしておく必要があるでしょう。兵糧攻めに遭ってから全面降伏することだけは、何としても避けたいものです。